(1)入門『苗と土』




●苗の準備

 ばらを育てるにあたり、苗を購入してくるわけですが、苗には大きく新苗大苗があります。新苗は冬に台木に接いで春に芽を出したばかりの苗で、5月ごろ、お店に出回ります。大苗は冬に接いだ苗をそのまま次の冬まで育て、十分に養分を蓄えた苗(二年苗)です。同じ品種でも価格は大苗の方が高くなります。




 新苗を購入した場合の注意点は、購入した初年度は鉢のまま、極力花を咲かせてしまわないように、せっかく発芽した花芽ではありますが摘みとって、幹や根に養分を回して冬を迎えるようにします。つまり、新苗は購入年は、花見を我慢するということです。そしてばらが休眠期(関東では12月〜2月ごろまで)に入ったところで鉢から取り出し、地植えまたは少し大きな鉢に植え替えます。

 購入したばらの名前はとても重要で、新しい名札に書き換えるなど、無くさないようにしましょう。この名前によって、ばらの特性(生き様、掛け合わせ血統、早咲き遅咲きなどの癖)や病気予防対策を含めた育て方を左右することになります。
 大苗は冬の休眠期に手に入る苗ですから、購入してそのまま地植えしたり鉢に植え替えすることができます。ただ、大苗の購入に際して注意すべき点は、苗が休眠期に入る前に掘り起こされ、剪定されて店頭に並んだ商品もあるということです。タイミング的にまだ活動期であったため、場合によっては出荷のための強剪定を受けたことにより、せっかく植えても枯れ込んでくるケースもあるようです。




●土作り

 ばらを鉢から取り出して植え替えしたり、地植えする場合に、ばらの一生を左右する土作りはとても大切です。土を作るポイントは、適度な水はけと肥料の保持性という漠然とした目標に、土地や気候に合わせた諸説や人それぞれの土のこだわりが入り乱れ、確固たる道筋が有るわけではありません。ということを前置きした上で、ここでは入門編として赤玉土を中心とした土作りをお勧めしておきます。



●鉢植えの土
(1)有機物(腐葉土堆肥牛糞など)
(2)赤玉土(中玉、小玉)
(3)その他(熔成りん肥、木炭など)
 上記の市販品(3)以外をほぼ均等にブレンドしたものをばら苗の用土として用います。なお、肥料は原則として用土には混合せず、鉢植えが完成したあとに、鉢の上に完熟有機肥料などを置き肥します。ただ、土の中で発酵熱を出さない緩効性肥料マグアンプエードボールなどは、用土にブレンドしても問題ないとされています。



●地植えの土
(1)穴を掘ります(可能な限り、直径および深さが40cm以上)。2カ所以上の穴をあける場合、最低でも50cmは離しておくことが望ましいようです。
(2)遅効性の有機肥料(油粕骨粉草木灰などをブレンドしたもの)約1Lを腐葉土とブレンドして穴の底に敷き詰めます。そしてばら苗の根に直接肥料が触れないように掘り起こした土で少し埋め戻します。
(3)掘り起こした土は赤玉土や新土をブレンドしたり、腐葉土、牛糞を用土として追加ブレンドして、通気性の良いふかふかな土を予め作っておきます。
(4)苗に添え木をして高さを定め、根を広げながら掘り起こした土を優しく戻していきます。
 なお、牛糞は肥料成分として微量の窒素分等を含みますが、通常は用土の一部として用いられます。



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