Machida Rose Society
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ばら作り入門
(1)入門『苗と土』
(2)入門『肥料と薬剤』
(3)入門『剪定と灌水』
(4)入門『年間作業』
(2)入門『肥料と薬剤』
●肥料
ばらの肥料は有機肥では「
油粕
」と「
骨粉
」を中心に
草木灰
などを加えて施肥します。また化成肥料では
熔成りん肥
、
硫酸カリ
、
マグアンプ
等の化成肥料、
ハイポネックス
液肥などが補助肥料として適宜用いられます。また最近では
IB肥料
と呼ばれる長期間肥料効果を発行する緩効性肥料が、臭いもなく土に混ぜ込んでも発酵熱を出さないため重宝されています。
ばらの育成では肥料の三要素、
窒素(N)、燐酸(P)、カリ(K)
、をどのようなバランスで与えるかが重要になります。ばらが根から養分を吸収する場合、
N
分
は根のほぼ全域から吸収されますが、
K
分
は根の先端から1/3までのあたりで吸収されます。
P
分
はさらに先端の髭根と呼ばれる細く白い根毛から吸収されます。
N分
は幹や葉を成長させ、
P分
は大きな花を作り、
K分
は根を成長させます。
ここで問題となるのが、花の出来・不出来を左右する
燐成分(P)の利かせ方
と言われています。燐酸は土壌の
pH
状態によっても差が出ますが、比較的早い段階で、地中でアルミや鉄分と反応し「固定化」されてしまい、灌水や雨水で根の先端に運ばれる前にかなり効果を消失させてしまいます。結果的にN分ばかりが効いたばらは、軟弱で花も小さく見栄えがしません。
燐分を根の先端まで届かせて養分として吸収させるためには、
N,P,K比率
のP分を多めに与えるなどの工夫が必要です。
(1)有機肥では
骨粉
を多め(成分比として)にブレンドして与える。
(2)
ハイポネックス
などの液肥の1000倍希釈液を、定期的に与える。
などの方法が多少なりとも効果を発揮します。
施肥の時期については
地植え
の場合、
寒肥
といって、冬の休眠期にたっぷりと施肥すること、および
礼肥
といって花が咲き終わった頃に同様にたっぷりと施肥することがとても重要です。
鉢植え
では月に一度は鉢の上に固形有機肥を置き肥し、散水の際には時々
即効性
の液肥の希釈液を灌水して養分を補うようにします。いずれもちょっと過剰じゃないかと思われるぐらいが、ばらにはちょうど良いのです。
●病害虫対策
ばらを育てるにあたってどうしても避けて通れない課題に、病害虫対策があります。日本では比較的湿度が高いため、必ずこの問題がばらを襲い、ばら愛好者を悩ませます。もしばらが、強力な耐害虫耐病性を備えていれば、ばら愛好家がもっと増えているだろうとも言われています。世界のばらブリーダもその点を重視し、2000年頃から「耐病性を重視したばら」、「香りのよいばら」に力を入れた新作を意識して発表しているようです。
さて、ばらの病害虫に対抗するためには
薬剤散布
は欠かせません。
無農薬
でばらの病害虫と戦っている愛好家も沢山居られますが、ばらの出来具合と人的労力と愛好者のコンセプトとの相談で、それも選択肢の一つかと思います。
●なお、ここでは薬剤散布についてお話しします。
(1)薬剤散布は予防処置と心得る。
病気や害虫が蔓延してからでは手遅れとなり、良い花は期待できません。
(2)薬剤には
害虫用
の薬剤と、
病気用
の薬剤がある。
薬剤による予防対策はこの両方を効果的に対策するために、殺虫剤と殺菌剤をブレンドして散布します。なお、最近では殺虫剤と殺菌剤を別々に単種類を時間差で散布するなどの方法も行われています。
(3)薬剤は定期的に散布する。
薬剤の持続効果は、地域の諸条件や散布時期にもよりますが10日から最大でも1ヶ月と考え、天候等によってはもっと短縮して薬剤散布を考える必要があります。
(4)同じ薬剤を続けて使用しない。
同じ薬剤を続けて散布すると、植物や害虫にも
耐性
が出来るなどが原因で、薬が効きにくくなります。そのため、同じ効果を持つタイプの異なる数種類の薬剤でローテーション散布計画表を作り、同一薬剤を続けて使用しないようにします。
●害虫および病気予防治療の薬剤について代表的なものを下記に示します。
(1)害虫予防殺虫
代表的な害虫としては、アブラムシ、ハダニなどがあります。コガネムシやチュウレンバチ、バラゾウムシなど、もっと大きい害虫もばらが大好きで、折角キレイに咲こうかという花などを、遠慮なくかじりつくします。大型の害虫は薬剤の効果が
忌避剤
として初期にしか効きませんので、発見次第捕殺して、食い荒らされることを最小限に留めます。まただいじなことは、できるだけ薬剤にばかり頼るのではなく、肥料がしっかりと行渡った、病気にかかりにくい「強いばら」を育てるとともに、人間が葉を観察し、害虫を未然に捕殺し、病気になり始めた葉は広がる前に取り除くなどの、
日常の努力が主
となるべきで、
薬剤はその補助
と考えて使用することが大切です。
・オルトラン
アブラムシの殺虫予防対策用浸透性殺虫剤で、比較的長時間効果を持続できます。
・スミチオン、マラソン
アブラムシの殺虫予防対策および忌避剤として使用できます。
・オサダン、ニッソランV
ハダニの殺虫予防効果があります。ローテーション使用が効果的です。
・
石灰硫黄合剤
休眠期
のみに使用される薬剤で、ハダニやカイガラムシの冬眠中の殺虫、また枝枯れ病等の予防に効果があります。
この薬剤は強いアルカリ性と金属腐食性
を伴なった、取扱いにはとくに注意を要する薬剤です。人体等に触れないよう、マスクやゴム手袋の装備はもちろんのこと、
十分な防護対策
と、使用した器具などは、使用後直ちに洗浄します。家庭の使用では、大掛かりな噴霧スプレーよりも、ハンドスプレーや刷毛塗りで、飛散りを最小限に抑えて使用することをお勧めします。古くからある農薬で、正しく使用する限り、他の農薬に比べて安全性は比較的高い薬剤です。
ただ、石灰硫黄合剤の500mlおよび1Lの
小分け容器販売は
、大変残念なことに目的外使用の事件多発により、遂に
2010年に販売中止
となり、以降18L等の農家向け大容量以外は入手できなくなってしまいました。大変残念なことです。
(2)病気予防治療
ばらの病気の代表的なものは、
黒星病
(黒点病)
と
うどんこ病
です。この二つをうまく抑制できれば、コンテストばらも夢ではありません。
・サプロール・オーソサイド
黒星病の代表的な予防治療薬です。ローテーション使用が効果的です。
・ラリー・トリフミン
うどん粉病の代表的な予防治療薬です。黒星病にも効くとされています。うどん粉病予防薬は他にも数種類あり、ローテーション使用が効果的です。また発生してしまったうどんこ病の治療方法には農薬を使わない各種の療法が公開されています。いろいろ試して、自身の庭に合った方法を見つけることも大切です。
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